栃木県小山市立小山中学校文化祭「小中祭」作品

★WORLD CUP '98★

 10月31日、11月1日。小山市立小山中学校の生徒が作った巨大なモザイクアートが全校生徒に公開されました。今年最も沸いたスポーツシーンの一つであるサッカーのワールドカップフランス大会。日本対アルゼンチン戦での中山雅史選手を題材とした作品です。こちらの作品展示の様子は31日の読売新聞(栃木版)でも紹介されました。

 無事モザイクアートを発表することができ、子供たちもその素晴らしさに大感動でした。初めての企画でどうなることかと不安でしたが、本当に遠くから見れば見るほど写真のように浮き出てくるのには驚きです。
 当日の天気もよく校舎にかけられた巨大なモザイクアートは注目の的でした。子供たちの感動は大きなもので、中には涙を浮かべる女子生徒もいたほどでした。2年生の中からは「来年も絶対この係をやる」と早くも意欲を燃やしてくれた子もいます。遠くから見た人達は写真と思い、近づいてきて初めてモザイクであるとわかって驚いていました。係に携わらなかった子供たちもその美しさにいつまでも見とれていました。本当にこのすばらしい経験に感謝しています。


読売新聞(1998.10.31)
モザイクアート公開----小山市立小山中----
 小山市立小山中学校(篠崎利男校長)の生徒が巨大なモザイクアートを作り、三十一日から始まった学校祭「小中祭」で、“色鮮やかな名画”が全校生徒に公開された。きょう一日は父母たちに披露する。
 このモザイクアートは、二・五a四方の十二色の色画用紙六万七千六百枚を張り合わせたもので、台紙を含むと縦横が各七bの大きさ。今年世界中を沸かせたサッカーのワールドカップの日本対アルゼンチン戦でボールをキープするジュビロ磐田の中山選手の雄姿を再現した。 (中略)  「完成したら素晴らしい絵になったので、感動した」と生徒は口をそろえ、来年の学校祭でも「ぜひ挑戦したい」と目を輝かせていた。同中は学校祭が終わっても、当分の間、体育館の内部壁面に掲示することにしている。


巨大貼り絵ができるまで〜小山中学校教員レポート〜
 10月の上旬、今年の学校祭でビッグアートを行うことが決定しました。しかし、方法についてはポスターカラーで画用紙に描いていこうかどうしようかと思案していました。そんな中、15日にパソコンの操作について校内の職員研修会がありました。たまたまインターネットで文化祭のホームページを開いてみたところ出てきたのが、この『文化祭企画ネタ集』でした。
 「これだ!」すぐこの企画に魅せられました。その日のうちにEメールを送り、北淀高校とコンタクトをとらせていただきました。学校祭は31日です。残された少ない日々で実現できるのか不安でしたが、M先生から心温まるお返事をいただき、勇気づけられました。ビッグアート自体は前任校でも経験したことがあったのですが、モザイクアートは初めてなのでわからないことが多く、メールでM先生からいろいろとアドバイスもいただきました。

作業日程は以下のようでした。
(26〜30日は準備期間のため、午後の授業はカットになります。したがいまして、1:30〜5:30まで作業を行いました。)
23日(金)色画用紙を2.5cm四方のチップ67600枚に切り分ける。
→仕上がりを考え、丁寧に1枚ずつカッターやはさみで切らせましたが、裁断機を使ってもあまり差はなかったような…。
26日(月)B4用紙(580枚)に枠を印刷し、設計図をもとに指定された場所に何色かを書き写す。
27日(火)指定されたチップをB4用紙に張り合わせる。
28日(水)
→ひたすら大変な作業でした。のりには木工ボンドと洗濯のりに水を混ぜて作りましたが、初日は水を入れすぎたために貼りづらそうでした。2日目は水を少な目にして正解でした。スティックのりも一部使いましたが、貼りやすい分、後ではがれやすいようです。
29日(木)前半:色画用紙の張り合わせの最終確認及び修正。
→設計図と付け合わせをして指定された色が貼られているかチェックしました。急いでやったせいかかなり修正が出てしまいました。
後半:B4用紙をたて8枚×よこ5枚ずつ張り合わせ、ブロックごとに完成させました。
30日(金)屋上で全体の張り合わせ作業。
→チップボール(800mm×1100mm)75枚を台紙にして張り合わせました。台紙の上部を段ボール(3枚重ね)で補強し、そこにロープを4カ所、通しました。見栄えをよくするために周りを空色の色画用紙で縁取りしました。
31日(土)学校祭当日。朝7:30に集合、屋上から吊り下げて完成。
→前日の夜、小雨が降りました。シートをかけて屋上に置いておきましたが、小さな穴が数カ所あり、シミができてしまい、その補修に時間がかかってしまいました。

 かかわった生徒は 全学年全クラス(15クラス)から4名ずつ選出された、計60名です。今回はB4用紙へのチップの張り合わせを係の生徒で行いましたが、できれば全校生徒に1枚ずつ分担させて全校生徒でかかわれるようにすると、より意識が高まったと思います。写真の内容については展示のテーマ『挑戦、感動!』に合わせ、ワールドカップでの日本代表の勇姿を選びました。生徒たちには事前に知らせておきました。

 費用は全部で3万円ほどかかりました。しかし、台紙にしたチップボール(親和紙業【東京】ー1枚750円)だけで約1万円(含送料・消費税)、ロープ代で5、000円かかっていますので、実質的には1万5千円といったところです。
 ※チップボールでなくても同じ厚さの段ボールを布製ガムテープでつなぎ合わせても十分だと思います。結構な重さになりますが、その分、多少の風ではびくともしませんでした。

 なお、今回使用した写真は共同通信社・日本サッカー協会が著作権を持っていたので、電話で連絡をとり、使用許諾を頂きました。

 せっかく作った作品ですので、現在は体育館の内部に残しています。殺風景だった体育館が華やかな雰囲気になりました。今年の学校祭のシンボルとして生徒たちも大切にしてくれています。


生徒の感想
 ちまちまとした細かい仕事、こればっかりでした。次の仕事へいってもまた、ちまちま。だんだんイライラしてきたりしました。しかし、完成した絵を思い浮かべながら友達と励まし合いながら頑張りました。
 最後の段階にきて、待ちに待った屋上での台紙への糊付け作業です。もうその時はドキドキワクワク。待ちきれず、遠くから見たり、ちょっと高いところに登って見たりしました。それだけで素晴らしいことが十分なほど分かりました。
 ビッグアート係のみんなの力を最後に合わせ、校舎にやっとの思いで吊しました。吊し終え、遠くに離れて見たとき、何とも言えなかった感動を今でも覚えています。中学最後の小中祭で、初めての企画だったビッグアートの係になれて本当に幸せでした。(3−1 T・M)

 「めんどうくさい。」初めにやる内容を聞いて私はそう思った。私が考えていたビッグアートはもっと簡単なものでした。しかし、作業をしてみると思ったより楽しくとてもよい時間を過ごすことができました。始めのうちは理科室でやっていましたが、絵がかなり大きくなってきたので、屋上でやることになりました。色紙を張り合わせていくうちに、形らしくなってきました。「すっごーい。」思わず大きな声を出してしまいました。完成したときは頑張ったかいがあったなあと思いました。 最後の小中祭でとてもよい思い出が作れて良かったです。(3−1 M・S)

 中学校最後の学校祭でビッグアートの係になってよかったと思います。友達と協力したり初めての体験ができたからです。ビッグアートは初めての展示だったので何をやるか楽しみでした。作業は地味でチップを張り付けている時は、どこの部分をやっているのかわからなくて完成するのか不安でした。大変だったけれど最後まで頑張って良かったです。大変な作業だった分、完成したときはとても嬉しかったです。たくさんの人が見て感動してくれました。いい思い出になりました。(3−2 S・S)

 私たちビッグアートの係は作っているときは本当にできあがるのかよくわかりませんでした。一枚一枚張り合わせていき、本当に大変な作業でした。そして、いよいよ完成しました。校庭に出て後ろを振り返らずに校庭の端まで走りました。そして、友達と「せーの!」のかけ声で振り返りました。私はとても感動しました。サッカーをしているゴンがまるで大きな写真のように写っていたからです。ビッグアートの係になり、こんな体験ができたことを嬉しく思います。この係になり、本当 に良かったです。(3−2 O・Y)

 私は最後の小中祭に心に大きく残る思い出を作りたいと思い、ビッグアートの係になりました。どういうものを作るのかが決まって作り始まったとき、とても細かい作業で本当にできるのか、いつになったらできるのかとても不安でした。でも やるしかないと思い、みんなで協力しながら少しずつできあがっていくのを見て、すごく充実感がわきました。小中祭が終わって校舎から降ろしているとき、終わっちゃうだなあって寂しかったけど、この係をやったことは私にとってとても大きなものになったし、自信にもなったので、きっと一生忘れない楽しい思い出になると思います。(3−2 M・N)

 初めまして。今年、小中祭「ビッグアート」の係長を務めました。初めは、具体的に何をどのように作るのか知らず、インターネットで知り合ったM先生にも手伝ってもらうと聞いた時には「すごい」と驚いてしまいました。それと同時にあと10日ぐらいしか残っていないのに、作り終わるのか不安でした。しかし、係のみんなや先生方のおかげで時間内に作り終えることができました。当日の朝、校舎にビッグアートを吊して校庭から見たら感動のあまり声が出ませんでした。
この大きな感動を私は一生、忘れません。(3−2 M・M)


作品データ

1998年10月31日・11月1日発表
栃木県・小山市立小山中学校モザイクアート委員会
巨大モザイク壁画
260×260(ピクセル)×11(色)